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歯周病の病因論〜古典的文献〜 [歯周病]

50年前と変わらない???
歯の表面についているのは、食べかす?汚れ?それとも・・・?

簡単に言います
歯肉炎の原因はプラーク(細菌)です

今では、当たり前すぎてアホらしいかな・・・
歯周病の話をする上で、切っては切れない話なのです。

昔より人々は(今でもですが)歯茎が腫れたり、化膿したりする痛みに苦しんでいました。その対処といってもせいぜい歯を抜いたり、腫れた歯茎を切って膿を出したりして対応するしかありませんでした(今でも、そう信じている人もいますが・・・)
たくさんの研究者がその問題に取り組んだ結果、1965年、今から50年ほど前にデンマークのハロルド・ロー(Löe)先生らの研究グループがこの歯垢(プラーク)と歯周病(歯周疾患)との因果関係を明らかにしました。歯周病(歯周疾患)の原因とは実は歯垢(プラーク)と呼ばれる歯に堆積するねばねばした白い塊だったことがわかりました。
彼はヒトの歯周病(歯周疾患)が歯垢(プラーク)によって引き起こされ、歯垢(プラーク)を除去することで治ることを1965年にはじめて示しました。

どのようなことをしたかというと
学生を使って2週間の間歯磨きを中止し、その後磨き始めるという簡単なものです。(うぇ〜と思うかもしれませんが、歯ブラシや補助器具が当たってない場所は一緒なんですよ・・・)2週間歯磨きを中止したことにより、歯茎からの出血や歯肉が赤みといった炎症の症状が見られるようになりました。しかし、歯磨きを再開すると歯茎からの出血が止まり、歯肉の色も健康な色にもどり、歯肉から炎症が消えていくことがわかりました。つまり、「歯茎に歯垢(プラーク)が付くことで歯周病(歯茎の炎症)が引き起こされ、それを取り除くことで歯周病(歯茎の炎症)が治っていく」、ということが明らかにされたのです。歯周病が歯垢(プラーク)により引き起こされる病気であることがはっきりと示されたわけです。(お〜[ぴかぴか(新しい)]

d-0021.jpg
Loe, H .Theilade E, Jensen SB. Experimental gingivitis in man. J Periodontol 1965 .36: 177-83.

縦軸にGI(Gingival index)横軸に日数を取ったグラフだ。
左端が口腔清掃中止日0日で、炎症が発症する日までを計測し、歯ブラシを開始した日を0日にして炎症が招待したしていく日が何日目かをみることができるようになっている。
実験開始後すぐ10日〜3週間ほどで全員に歯肉の炎症(歯肉炎)が見られた。口腔清掃を中止したことでプラークの蓄積が起きたからだ。炎症の発現までの日数には個人差があるが、プラークの蓄積により歯肉に炎症が引き起こされることが示された。口腔清掃再開後、急速にGIが下がり、早い人で3日ほどで健康歯肉を回復したことがわかる。この実験から、ヒトにおいてプラークの蓄積により歯肉炎症が惹起され、プラークの除去により歯肉炎症が消失することが明らかされた。つまり、歯肉炎症(歯肉炎)の原因がプラークであることがはっきり示されたのである。


まだ50年前までは、プラークを除去することによって
歯周病が治るということすらも判明していない時代だったことも示している。

現在でこそ、当たり前のことであるように捉えがちですが
50年前までは明らかにされていなかったのである。私たち歯科医療従事者が、さも当然かのように取り扱っている歯周病に対するブラッシング指導なるものは歴史的にいうと最近の出来事であることがよくわかります。


ガリレオに代表されるように
ちょっと先を見ている人の話って
ときには「よくわからない」ことってありますよね。
見えるものと見えないものに捉われることなく
本質を見る目をいつも忘れずにいたい。

まだまだわかっていないことってあると思いますが
今、歯科界においてのパンドラの箱は「咬合」であり
エビデンスがないと一蹴されてしまうが、ビッグデータにより解釈されつつあるように思えます。

足立区竹ノ塚 ソアビル歯科医院https://www.soar-dc.com
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