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歯周基本治療の威力 [歯周病]

このレントゲンは、ある患者さんの歯周病治療の術前、術後(1年半経過)の比較です。


2018年SRPを主体とした歯周基本治療を行なった患者さん。

途中で、来院が途絶えました。

幸いなことに、歯周基本治療は終えていたのですが

再評価を行おうとして・・・キャンセル


と。。。


早、1年半


ひょっこり現れました。

お、久しぶりだなあと、

しかし、でもなんできたんだろう???


すると、前歯の固定した接着剤が取れグラグラするとのこと。


あらら・・

大丈夫かなあ・・

と、口の中を見ると


確かに、外れてる。

そういえば、他の部分も確認で撮らせてもらおう!!


恐る恐るレントゲンを撮ると!!!

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あら、遠心に骨が回復しているではありませんか!!!


さらに、前歯なんて2年前の時点で

もう抜けちゃいそう!!

IMG_3495.jpg


戦々恐々とまたまたレントゲンを撮ってみました・・・


すると・・・


口の中は歯石がいっぱい


しかし・・・


しかし・・・


しかし!!!


歯石いっぱい付けちゃってるけど!!

骨戻る。


これだけあればしばらく大丈夫。

一本の歯を守るために全力を尽くした結果だなあ。


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徹底した原因の除去が歯周基本治療では最も大事になってきます。

真摯に歯周基本治療に向き合う

これからも続けていきます



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歯周病の病因論〜炎症と免疫応答〜  [歯周病]

「事件は免疫応答で起きてるんじゃない!現場で起きているんだ」
「B細胞さん!聞こえるか?どうして現場に血が流れるんだ!!」
免疫について調べていたら、こんなセリフが頭の中を駆け巡る。答えは最後の方に。

歯ぐきが腫れて痛いです。歯を磨くと血が出ます。歯ぐきが赤くなっている

これらは全て歯ぐきに炎症が起きていることを示しています。
健康な歯を磨いて傷をつけて血が出ることは滅多にありません。
ほとんどがプラーク(ばい菌)がついていて歯ぐきが炎症反応を起こしている状態です。

現場で起きているのは、炎症反応の結果
もっと簡単にいうと、「ばい菌が侵入しようとしている、もしくはばい菌が入っている状態」であることがわかります。

細菌が体内に侵入し、悪さをするので、これを防止するために白血球が細菌と戦っており、このために腫れて、痛くて、熱が出るのです。この戦いで死んだ白血球と細菌が膿となって出てくるのです
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プラークの付着や歯ぐきの腫れは、現場で起きていますが
しかし、歯周病の本質は、免疫応答である
そして
「歯周炎の重症度は、歯に付着しているプラークの量と、付着していた時間の長さの単純な関数ではないこと、そして、この疾患に対する感受性が人によって異なることが分かっている」

「細菌の攻撃と生体の防御の均衡の破綻」が発症の原因です。


「EuroPerio9で発表された新分類
この包括的分類は、最新のエビデンスに基づいており、歯周炎の病期診断および等級付け体系を含むもので、重症度と疾患の程度を示し、生涯にわたる罹患体験や、患者の健康状態全般を考慮したものとなっている。臨床上の健康状態が分類内で初めて定義され、歯周炎は、重症度の軽いものから重いものへと4段階で説明されている。疾患進行率とリスクは、進行のリスクが最も低いものから高いものへと3段階に分類された。この等級付けでは、喫煙や、糖尿病などの合併症のような危険因子が考慮される」
とあるように、

時間軸による歯周疾患の推移を考え、年齢と破壊の程度を考慮し、生活習慣に配慮する。
実際の臨床では、初診時の問診が重要さを占めてきます。

罹患度
①どのくらい歯周病に罹患しているのか?(いつころから歯磨きで出血したのかなど、患者の全身状態の影響度は?
進行性
②どのくらいの進み具合なのか?今後どんなスピードで進行しそうか?進行リスクはどうか?
反応性
③歯周基本治療の反応性、治療に対する反応度はどうか?喫煙、糖尿病なのどの危険因子による影響
を見ることとなる

このように、複雑な要因が密接に絡み合って発症するのが歯周炎であることは明確である。
歯周組織における生体防御反応として、免疫応答の炎症反応として詳細を知っておくことが肝要であることは明白である。そして、勉強しなおしました。

ということで、炎症反応、免疫応答についてまとめなおしました。

炎症

◎炎症とは
 炎症は生体が傷害を受けた際に起こす反応である.すなわち,細胞や組織が傷害された際にこれを取 り除いて再生するための反応で,生体にとっては防御的なものである.

◎炎症の徴候
 炎症の徴候として,古くから,ケルススの 4 徴:発赤(赤くなる)・発熱(熱が出る)・疼痛(痛い)・ 腫脹(腫れる) が知られている.これにガレノスの提唱した機能障害(動かせないなど)を加えて炎症の5 徴候という.

◎炎症の原因 炎症が起こるためには,その原因となる有害な刺激が存在する.
その原因として大きく分けて,生物学的因子・物理的因子・化学的因子の 3 つがあげられる.
 
 生物学的因子:病原体の侵入によっておこる感染症一般を意味する.感染症の原因としては,細菌, 真菌,ウイルス,原虫,寄生虫などがあげられる.
 物理的因子:機械的外力,電気・紫外線・放射線,また,高温による熱傷や低温による凍傷など, ある一定以上の刺激が炎症の原因となる.
 化学的因子:化学物質による障害であり,重金属や有機溶剤による中毒,酸・アルカリによる腐食 などが含まれる.

◎炎症の種類
 炎症はその経過によって,急性炎症と慢性炎症に分けられる.経過がすみやかで早期に終息する炎症 を急性炎症という.一方,組織障害が長期にわたる場合や,原因となる病原がなかなか処理されない 場合には炎症が長引く.4 週間以上に長引く炎症を慢性炎症という.

◎炎症細胞
 炎症の起こる場所に集まって,炎症の主役を演じる細胞を炎症細胞という.この炎症細胞には,好中球などのように,主として急性期に見られる炎症細胞と,リンパ球やマクロファージのように慢性期に見られる炎症細胞とがある.

◎炎症の経過

1) 局所の組織障害
さまざまの原因によって組織が障害されると,崩壊した細胞や血小板などから,ヒスタミンやロイコトリエンなどの種々の化学伝達物質が放出され,炎症が引き起こされる.

2) 局所の循環障害と血漿タンパクの滲出,炎症細胞の浸潤 放出されたヒスタミンなどのある種の化学伝達物質は,血管に作用して局所の血管壁の透過性を亢
進させる.そのため,血漿タンパクの滲出を容易にし,局所への炎症細胞浸潤を促す.また,ロイコトリエンなどのある種の化学伝達物質は,好中球などの遊走を促進する.
このように,化学伝達物質のはたらきによって,好中球などの急性期の炎症細胞が炎症局所に集まり,これらの細胞から積極的に放出されるタンパク質分解酵素などによって,炎症はさらに増強される.

3) 有害物質の除去と組織の修復
組織の障害が一段落し,急性の炎症反応がある程度おさまると,残った有害物質や壊死に陥った組織を取り除く作業,また,欠損した組織をもとに戻す作業が行われる.この作業を修復という.リンパ 球は免疫反応を介して病原の排除にはたらく.好中球が処理できなかった病原体や壊死細胞は,マクロファージによって貪食される.また,欠損した組織は線維芽細胞によって作り出される膠原線維 によって埋められ修復される.
こうした一連の修復過程において,除去された老廃物を運搬するために,また組織の修復に必要な材 料を輸送するために,豊富な毛細血管が構築されて肉芽組織と呼ばれる組織が形成される.組織の修 復が進むにつれ,毛細血管は減少し膠原線維成分が増していく.このようにして,肉芽組織はやがて瘢 痕組織と呼ばれる線維性組織に置き換えられていく.


◎炎症の各型
1) 変質性炎
細胞や組織の変性・壊死は高度に見られるが,滲出や増殖が生じていない状態を変質性炎という.肝細胞の変性・壊死が見られるウイルス肝炎や熱傷などの際に見られる.

2) 滲出性炎
局所の循環障害と血液成分の滲出を特徴とする炎症である.滲出する成分の違いによって以下のように分類される.
・漿液性炎
ほぼ血清(血漿からフィブリンを除いた成分)と同じ成分の滲出を主体とする炎症であり,火傷のときに見られる水疱や,虫に刺されたときの腫れ,アレルギー性鼻炎などがあてはまる. ・線維素性炎
多量の線維素(フィブリン)の析出を特徴とする炎症をさし,肺・胸膜・心外膜などに見られる. 粘膜の線維素性炎に壊死を伴うときは偽膜性炎といい,大腸粘膜にみられることが多い.
・化膿性炎
細菌感染による好中球浸潤を主体とする滲出性炎である.膿瘍や蜂窩織炎などが含まれる.
 膿瘍:組織が欠損して新たに生じた空洞の中に,好中球や壊死物のかたまりである膿汁を含む状態.
 蜂窩織炎:びまん性の好中球浸潤と浮腫を特徴とし,急性虫垂炎などがあげられる.
・出血性炎
赤血球の血管外への漏出,すなわち出血の著しい炎症をいう.インフルエンザ肺炎が代表的である.
・壊疽性炎
嫌気性菌の感染などが加わった,特殊な壊死の形態を壊疽とよび,壊疽の著しい炎症を壊疽性炎という.急性虫垂炎が放置されて進行すると,しばしば壊疽性炎と呈する.

3) 増殖性炎 線維芽細胞の増殖を特徴とし,持続性の刺激に対して引き起こされる炎症反応で,慢性炎症でよく見られる.肝硬変や肺線維症などがあげられる.

4) 特殊性炎(肉芽腫性炎) 増殖性炎の特殊なものであって,肉芽腫形成を特徴とする.結核菌や真菌など,処理のしにくい特殊な病原体によって生じることがほとんどである.結核や梅毒などがあげられる.

免疫
◎免疫とは
 一般に免疫とは、「体内に侵入した病原体を排除し,病気の発症を免れるはたらき」をいう.特に、ある感染症に罹患していったん治癒すると,同じ病原体が再び侵入しても免れる場合に,この現象をさして,しばしば「免疫ができた」と表現する.これは,「生体内に侵入した病原体を非自己として認識し,この病原体を積極的に排除する仕組み」が働くからである.この仕組みを免疫応答という.
 免疫の仕組みによって非自己として認識される病原体などを抗原という.いったん認識された抗原はリンパ球によって記憶され,2 回目以降はすばやく効果的に排除される.このような免疫学的記憶によって,同一の病原体が再び侵入しても,発症を免れることができるのである.
 ◎免疫担当細胞
免疫の機序に関与する細胞を免疫担当細胞という.すなわち,抗原刺激に対して,その特異性を判別して特異的に関与する細胞群をいい,T 細胞,B 細胞などのリンパ球やマクロファージなどが含まれる.
1) T細胞(Tリンパ球)
 骨髄の造血幹細胞が胸腺 thymus において特殊な分化を行ったあと T 細胞となる.T 細胞は,主に細胞性免疫をつかさどり,結核菌・真菌の感染防御,ウイルス感染細胞やがん細胞の排除,移植片の拒絶などの役割を担っている.

2) B細胞(Bリンパ球)
胸腺を介さずに直接骨髄 bone marrow で成熟・分化して作られることから B 細胞という.B 細胞は 液性免疫を担当する.抗原の刺激を受けると,B 細胞は形質細胞とよばれる細胞へと分化し,抗原に 対応した抗体を産生する.

3) ナチュラルキラー細胞(NK細胞)
T 細胞にも B 細胞にも属さないリンパ球の一群であり,自然免疫系の細胞である.がん細胞やウイル ス感染細胞などを,抗原非特異的に殺傷する能力を有している.

4) マクロファージ(抗原提示細胞) 大食細胞とも呼ばれるマクロファージは,活発な貪食能を有する細胞である.炎症局所で壊死組織や病原体などを貪食し処理する.
免疫反応においてマクロファージは,処理した抗原物質を T 細胞に提示するという重要なはたらきをもっている.そのためにマクロファージは抗原提示細胞とよばれる.
T 細胞は,抗原提示細胞によって提示された抗原を認識することによって,免疫応答を開始する.

◎抗体と補体
抗体や補体は細胞成分だけでなく,血清中に存在するタンパクの一種である.
1) 抗体
抗体は B 細胞から分化した形質細胞によって産生されるタンパク質で,免疫グロブリン
immunoglobulin(Ig)とも呼ばれる.抗体は IgG・IgA・IgM・IgD・IgE の 5 種類に分けられる.抗体は対応する抗原に対して高い親和性をもっており,またその結合性は非常に特異的である.たとえば, ある種の抗体は毒素やウイルスと結合して,その毒性や生理活性を失わせる力をもつ.この作用を中和という.また,抗体は補体と結合する部位をもち,補体と抗原の橋渡し役も担っている.

2) 補体
 補体は,「抗体のはたらきを補助する」するという意味からきている.補体は抗体と結合することに よって活性化され,抗原となっている細胞や組織を傷害したり,融解させる作用を有している.また, 補体には,抗体が抗原と結合することによって生じる,さまざまな機能を増強するはたらきもある.

◎液性免疫と細胞性免疫
抗原を認識した B 細胞は,形質細胞に分化して抗体を産生・放出するが,体液中の抗体は,対応する抗原と特異的に結合することによって毒素やウイルスを中和する.このように,抗体を介してはたらく免疫反応を液性免疫という.

これに対して,T 細胞は抗体を産生する能力を持たず,細胞と細胞との接触を介して免疫反応を引き 起こす.このような T 細胞を主体とする免疫反応を細胞性免疫という.

体液性免疫は、自分の手を汚さず対処する 室井さんタイプ
細胞性免疫は、自らの手で抹殺する 青島タイプ

T細胞刑事による
「B細胞さん!
どうして現場に血が流れるんだ!!」ってセリフが聞こえてきそうだ
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生まれつき歯周病になりやすいってあるの?スリランカスタディ [歯周病]

歯周病は人によって進行に大きな差があります。

1970年から15年にかけて行われた調査には驚くべき結果が!!
スリランカ中部2箇所の紅茶畑で働く労働者の男性480名を対象にして行われた。
この地域の人たちは、歯を磨く習慣もなく、もちろん歯医者もありません。つまり、予防も治療もない状態で歯周病をほおっておくとどうなるか?を15年に渡り追跡した。

そして1986年スリランカスタディとして発表されたのである

そこには、驚くべき結果が!!

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1、全然悪くならない人々 11%

 歯磨きをしないんだから、口の中はプラークや歯石が多くみられた。にもかかわらず歯周病の進行はほとんどなかった。

2、ゆっくりと進行する人々 81%

 大半の人々は歯周病がゆっくりと進行
 一定のペースでアタッチメントロスや喪失歯を伴う

3、急速に進行する人々 8%

 残りの8%の人たちは、急激なペースで歯周病を進行させ20代のうちに歯が抜け始め、歯周病の進行は止まらず、40代で全ての歯を失ってしまう人もいました。

つまり、同じ環境で生活しているにもかかわらず歯周炎の重症度や範囲に大きな差が見られた。歯周病の発現や病態を説明するのに細菌性プラークや生活習慣だけでは十分ではなく、患者固有の感受性が大きく関わっていることが明確になったと言える。

生まれつき歯周病になりやすい人は、8%
そもそも歯を磨かないでいると10人に1人は、40代で歯を喪失し始める可能性があることがはっきりしたのです!!!
幸いなことに、我々は文化的にいうと歯を磨く習慣があります。
多少歯を磨いていれば、40代で歯を失うことはあまりありませんが、中には非常に反応が早く歯周組織が破壊されている方も存在します。

歯周病の進行は、どんな研究においても1人の口の中または集団の中で一様に進行するのではないことがわかってきた。進行が早く進む場所と人によってはゆっくり遅く進む場所がわかってきたのである。
1980年代後半になって、歯周病が「部位特異的」に進行する病気であることがわかってきた。
 大部分の歯周病は、ゆっくり緩慢に進むため急激に進行する場所がある人も平均値を取ると必ずしもその集団や個人の進行状況を示すことができないのである。つまり、場所によっては進行しないところもあれば、時間とともに進行する場所、変化の大きさがまちまちであり、色々な進行の仕方が1人の口の中に存在している。
 治療を行なっていく上で、個々の検査結果をもとに状態を把握しないと歯周病の実態は把握することができないため注意が必要である。

 ここ最近の研究では、進行の仕方が個人や部位によって違い、進行に影響するリスクの程度が歯周病進行に大きく関係しているのではないかと考えられるようになってきた。

まとめると

歯周病の進行には個人差がある(疫学調査により)
しかし、80%がゆっくり進み11%がほとんど進まない
ところが、調査の平均値に埋もれ一人一人の口の中で進みやすい部位と進みにくい部位が異なることが不明瞭である

そのためにも

個人個人のPPD ATL、リスク因子の把握をし その人の歯周病の病態をしっかりと把握する必要性がある

急速に進むタイプの人でも治療により進行は緩やかにする事が可能


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歯周病の病因論〜古典的文献〜 [歯周病]

50年前と変わらない???
歯の表面についているのは、食べかす?汚れ?それとも・・・?

簡単に言います
歯肉炎の原因はプラーク(細菌)です

今では、当たり前すぎてアホらしいかな・・・
歯周病の話をする上で、切っては切れない話なのです。

昔より人々は(今でもですが)歯茎が腫れたり、化膿したりする痛みに苦しんでいました。その対処といってもせいぜい歯を抜いたり、腫れた歯茎を切って膿を出したりして対応するしかありませんでした(今でも、そう信じている人もいますが・・・)
たくさんの研究者がその問題に取り組んだ結果、1965年、今から50年ほど前にデンマークのハロルド・ロー(Löe)先生らの研究グループがこの歯垢(プラーク)と歯周病(歯周疾患)との因果関係を明らかにしました。歯周病(歯周疾患)の原因とは実は歯垢(プラーク)と呼ばれる歯に堆積するねばねばした白い塊だったことがわかりました。
彼はヒトの歯周病(歯周疾患)が歯垢(プラーク)によって引き起こされ、歯垢(プラーク)を除去することで治ることを1965年にはじめて示しました。

どのようなことをしたかというと
学生を使って2週間の間歯磨きを中止し、その後磨き始めるという簡単なものです。(うぇ〜と思うかもしれませんが、歯ブラシや補助器具が当たってない場所は一緒なんですよ・・・)2週間歯磨きを中止したことにより、歯茎からの出血や歯肉が赤みといった炎症の症状が見られるようになりました。しかし、歯磨きを再開すると歯茎からの出血が止まり、歯肉の色も健康な色にもどり、歯肉から炎症が消えていくことがわかりました。つまり、「歯茎に歯垢(プラーク)が付くことで歯周病(歯茎の炎症)が引き起こされ、それを取り除くことで歯周病(歯茎の炎症)が治っていく」、ということが明らかにされたのです。歯周病が歯垢(プラーク)により引き起こされる病気であることがはっきりと示されたわけです。(お〜[ぴかぴか(新しい)]

d-0021.jpg
Loe, H .Theilade E, Jensen SB. Experimental gingivitis in man. J Periodontol 1965 .36: 177-83.

縦軸にGI(Gingival index)横軸に日数を取ったグラフだ。
左端が口腔清掃中止日0日で、炎症が発症する日までを計測し、歯ブラシを開始した日を0日にして炎症が招待したしていく日が何日目かをみることができるようになっている。
実験開始後すぐ10日〜3週間ほどで全員に歯肉の炎症(歯肉炎)が見られた。口腔清掃を中止したことでプラークの蓄積が起きたからだ。炎症の発現までの日数には個人差があるが、プラークの蓄積により歯肉に炎症が引き起こされることが示された。口腔清掃再開後、急速にGIが下がり、早い人で3日ほどで健康歯肉を回復したことがわかる。この実験から、ヒトにおいてプラークの蓄積により歯肉炎症が惹起され、プラークの除去により歯肉炎症が消失することが明らかされた。つまり、歯肉炎症(歯肉炎)の原因がプラークであることがはっきり示されたのである。


まだ50年前までは、プラークを除去することによって
歯周病が治るということすらも判明していない時代だったことも示している。

現在でこそ、当たり前のことであるように捉えがちですが
50年前までは明らかにされていなかったのである。私たち歯科医療従事者が、さも当然かのように取り扱っている歯周病に対するブラッシング指導なるものは歴史的にいうと最近の出来事であることがよくわかります。


ガリレオに代表されるように
ちょっと先を見ている人の話って
ときには「よくわからない」ことってありますよね。
見えるものと見えないものに捉われることなく
本質を見る目をいつも忘れずにいたい。

まだまだわかっていないことってあると思いますが
今、歯科界においてのパンドラの箱は「咬合」であり
エビデンスがないと一蹴されてしまうが、ビッグデータにより解釈されつつあるように思えます。

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歯周病の本質とは。。歯のヨゴレはとるな!?歯周病のメカニズム・炎症の指標 [歯周病]

我々ペリオドンティストの対象は細菌と免疫応答です。
「歯のヨゴレ」とは戦っていません!!
まず、写真やレントゲン、口の中の状態を患者さんと一緒に確認しながら
歯周病のメカニズムについてお話しします。
periodontal_disease_mischief_4.png

歯周病成立のメカニズム

1、「口の中に歯周病を起こす細菌がいること」

2、「歯周病を起こす菌と体を守る細胞が戦う結果(免疫反応の結果)、歯周組織に破壊が起こること」


歯周病発症のメカニズムはこちら
名称未設定6.001.jpeg
したがって、患者さんい全身疾患があると免疫応答に問題が生じ、歯周病が進行しやすくなること。
periodontosis01.pngeffect_10.png
つまり
昨今、歯周病と全身疾患の関係が明らかになってきました。
また歯周病学会では医科歯科連携をより推進するために
歯周炎を一つの塊として評価する指標を
「感染」「炎症」「機能」という三つの視点から検討しているようです。

炎症の程度を反映し、医科歯科連携取れるようにした指標が発表された
PISA(1)歯周炎症表面積;periodontal inflamed surface area(PISA)
・・・歯周組織の検査結果から炎症の程度を 定量化した指標であり、歯周病を一臓器の慢性炎症 巣として客観的に捉えることができる注目すべき指 標である

PISA は、歯周病学会歯周病専門医申請書の様 式 8(図 1)に記載されている歯周ポケット深さ(probing pocket depth:PPD)とプロービング時の出血(bleeding on probing:BOP)から算出したもので、 PPD は 6 点法で行い、1 歯単位の BOP 陽性数を反映 させることによって、1 口腔単位の炎症表面積を求めたものである。

全身と歯周病の両者の根底には「炎症」があり、歯周病の病名が解明されるにつれ、炎症を見直そうという考えが広まってきた。現在、「炎症」が歯周組織を破壊し、また全身にも影響を及ぼす本質であること。
このように昨今の歯周治療のゴールの概念は
歯周ポケットをなくすことではなく、炎症の臨床的指標であるBOP(プローブ時出血)をなくすことに考え方が変わってきた。

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